愛知県・冨本大輔

愛知県常滑市、常滑駅から車で10分ほど行った丘の上に冨本さんの工房はあります。そこは元々里山だったそうで、高台に位置する工房からは太平洋が見え、まるで映画のワンシーンのような風景です。作業場の2階からも海が見え、とても気持ち良い風が通ります。

初めてお会いした時、冨本さんは外見も内面も”昔ながらの職人肌の方”という印象でした。作るうつわもその内面の通り、正確で綺麗な作りをしています。

そんな冨本さんは焼き物を始められる前の学生時代は経済について学び、それ以外の時間はレゲエのレコードかけ(セレクター)に夢中になっていたそうです。ご自身のことを”ワシ”と言う、目の前の職人の姿とのギャップがありすぎて驚いてしまいました。当時はバイト代の全てをレコードに注ぎ込み、ライブハウスでレコードをかけるイベントを開いたりもしていたそうです。

その後大学を卒業し、2年間会社員として働いた冨本さん。社会人になってもレゲエ熱はおさまらず、初めての海外旅行であるジャマイカに行ったのもこの頃でした。当時は今以上に情報も、さらには空港も無いにも関わらず、好きになったものには情熱的な行動力をみせる冨本さんはなんと一人でジャマイカへ向かいました。どんどん初めの印象が崩れていき(良い意味で)とても興味深い方だなあと夢中になって話を聞きました。

それから24歳で会社員を辞め、焼き物を始めます。冨本さんのお父さまは主に花器を作っていたので、技術は手取り足取りではないけれどお父さまから学びました。実家が窯元だと小さい頃から土を触って育つ方もいらっしゃいますが、冨本さんは小さい頃には特に焼き物に触れる事はなく、土を触ったのもこの頃からだそうです。初めの頃はお父さまに作れと言われたものを作って技術を身につけていったそうです。

冨本さんといえばお皿や蕎麦猪口に施された様々な模様が特徴的ですがこれは伝統工芸の独楽(こま)を参考に作っているそうです。全部で絵柄は8種類ほど。染め付けの本なども参考にしてオリジナルの柄を作り上げました。また土も少し特徴的で、持った時に陶器よりも少し硬い感じがします。これは食器作りに向いている石器土(せっきつち)と磁器土を混ぜたものを使っています。石器土は吸水性がほぼ無くなるので、使い初めにおすすめしている目止め作業もやらなくて良いそうです。冨本さんのうつわの特徴はコチラ→

少し寄り道をして焼き物の道に進んだからこそ真面目で誠実なものづくりをされているんだろうなあという印象を冨本さんから受けました。そんな冨本さんですが、着けていたマスクを外すとかなり暑い日にも関わらず中々の量の髭をマスクの中に隠し持っていました。床屋さんに髭を刈ってもらうからただ床屋に行ってないだけなんです、本当の不精髭なんです、ものぐさなんです、と仰っていました。きっと本当にものぐさな部分もあるんだろうなーと思いました。

現在はレコードを回す事はほとんど無いそうですが、当時のレコードは思い入れがあるので売らずに残しているそうで、たまに息子さんに頼まれるとかけるそうです。レゲエが好きで、好きなことには情熱的な行動力を見せる冨本さん。最近は植物が好きで、植物を見るために他県の園まで行くそうです。ジャマイカの時と同じで好きになったら動く、好きになったらエネルギッシュな冨本さんのうつわを是非ご覧ください。ひとまず冨本さんが初めてのジャマイカで会って感動したという、ルシアーノというレゲエアーティストを聴いてみようと思います。

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