千葉県長生郡長南町で芝原人形(しばらにんぎょう)に魅せられた千葉惣次さんが現在4代目として芝原人形(しばらにんぎょう)を作り続けています。千葉の繁華街から車を走らせること1時間。辺りには田んぼと山が広がり山道を登っていくと、千葉さんの自宅兼工房ギャラリーが現れます。近くに民家など無く、とても静かな場所です。
芝原人形(しばらにんぎょう)は東京の今戸人形から派生した土人形です。千葉さんは幼少期、お祖母さまが芝原人形を嬉しそうに飾っている姿を見てどんどん夢中になっていきました。
現在千葉さんは、奥さまと娘さんの3人で分業して土人形の制作を行っています。職人の世界を初め、昔から郷土玩具の世界は子供が家業を手伝い、技術を見よう見まねで覚えるそうです。まず千葉さんが人形の原型を作ってそれを元に型を作り、その型に粘土を詰めていきます。前型と後ろ型を合わせるときに土を丸めたものを詰めて一緒に焼くことによって人形を振った時カラカラと音が鳴ります。これは芝原人形の特徴の一つです。
焼き上がったものに奥さまと娘さんが絵付けをしていきます。膠(にかわ)から取った絵の具なので水に弱く、日焼けにも弱いので取り扱いには多少の注意が必要ですが、元々は子供のおもちゃなので安全な材料で作られています。
絵付けは同じ色ごとに50点づつくらいをまとめて色付けします。最後に顔を描き、その顔は芝原人形の特徴である隈取りされたものが殆どです。そして金粉をかけるのも芝原人形の特色です。昔から代々受け継いだものも作りつつ、飽きが来ないように毎年10点ほど新しいものも制作しています。
ギャラリーには、千葉さんが若い頃から集めている日本各地の民芸品のコレクションも所狭しと並んでおり素晴らしい空間となっています。伝統が残りやすい寒い地域のものが多く、東北のものが多いそうです。
千葉さんは「車で日本一周何回したかなあー」と、今まで集めてこられたコレクションのお話をついこの間のことのように楽しそうにお話ししてくださいます。郷土人形の枠に囚われず、時代の背景、宗教など大きな枠で物事を捉え、それを元に人形を作っています。そんな千葉さんが作る人形はみんな優しい表情でどこか愉快です。つい話しかけたくなってしまう魅力を放っています。
No responses yet