陶器のうつわの使いはじめ 〜簡単目止め方法〜
陶器のうつわは土からできいます。
釉薬でコーティングしているとはいえ、表面には無数の小さな穴が開いている為そこから水分などを吸収します。
その無数の穴を目止めをすることで塞ぎ、水分の吸収を抑え、シミやカビや臭いうつりを予防します。
買った時の状態をより長く保っていただく為、また水漏れ防止の対策として目止めすることをお勧めいたします。
目止め方法
(用意するもの)
・うつわがすっぽり入るサイズの鍋
・鍋にたっぷり入るくらいのお米の研ぎ汁
無洗米の方は小麦粉、片栗粉でも代用できますし、食べ残したご飯でも良いです。
(手順)
- うつわとお米の研ぎ汁を一緒に鍋に入れます。研ぎ汁はうつわが隠れるくらい入れてください。(無洗米の方は小麦粉または片栗粉大さじ1程度を水に溶かしたものを鍋に一緒に入れてください。)
- 20〜30分ほど煮沸し、鍋のまま冷ましてください。
- 冷めたらうつわを洗って、よく乾燥させて目止め完了です。
なんかホコリ臭いような時は…
たまにあるのですが、最初からなんかホコリっぽい臭いがついていることがあります。
洗っても目止めをしても取れません。
使っていくと消えることがほとんどですが、カップなど飲む度に気になるなあという時は試してみてください。
(用意するもの)
・重曹大1程度
・うつわがすっぽり入るボウルなどの容器
(手順)
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ボウルにうつわとうつわが隠れるくらいの水を入れて重曹大1杯程度を溶かし入れます。
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半日〜1日漬けておきます。
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よく洗って、乾かしてからお使いください。(乾かすと重曹が白く浮き出てくることがあります)
高台のザラつき
まれに高台(裏返した時一番上にくるザラッとしたところ、使用時テーブルとの設置面)がガタついていたり、ザラザラしている場合があります。
テーブルを傷つける恐れがありますので高台のザラつきが気になりましたら、紙やすりで削ってからお使いください。
民藝のうつわは目止めをしても日々使っていくことで変化していきます。
その代表的な変化と予防方法をまとめましたので、気になる方は参考にしてみてください。
貫入
貫入とは陶器の表面に現れる釉薬のヒビです。
使っていくとその貫入に水分などが入り込みヒビが濃く現れてきます。
表面のコーティングのヒビなのでうつわが割れているわけではありませんが、ヒビが入ったようになります。
これはとても美しく、長く使ったからこその味わいです。
なるべく購入したままの状態で使いたいという方は目止めをしてからお使いください。※目止めをしても完全に貫入が入らないわけではありません。
カビ
ほとんどのうつわが釉薬によってコーティングされているので、ツルッとした部分はカビの心配はありませんが、うつわの高台部分(裏返した時一番上にくるザラッとしたところ、使用時テーブルとの設置面)は乾燥が足りないとカビが生えることがあります。
カビは生えやすいものと、そうでないものがありますが一度生えると取れないことが多いので、洗った後はよく乾燥させてから食器棚等に収納してください。
窯元の窯でもう一度焼くとカビも焼けて消えるそうですが、我が家に窯はないので乾燥だけは気をつけています。
臭いうつり
陶器のうつわは表面に無数の小さな穴が開いているため、水分や料理の汁などを吸い込みます。
料理を盛り付ける前に、うつわを水に浸してから盛り付けると臭いうつりの原因となる汁物や油が染みづらくなります。
臭いが付いてしまったら…
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ボウルにうつわとうつわが隠れるくらいの水を入れて重曹大1杯程度を溶かし入れます。
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半日〜1日漬けておきます。
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よく洗って、乾かしてからお使いください。(乾かすと重曹が白く浮き出てくることがあります)
シミ
粉引きのうつわ、白っぽい色のうつわだと目立つシミができやすいです。
気になる方は目止めを行ってからお使いください。
たまにで良いので、お手入れしてください。
色々書きましたが、私はうつわの使い始めに目止めもしませんし、使う時も水に浸したことはありません。
電子レンジでも使いますし、料理を乗せたまま冷蔵庫にそのまま入れてしまう事もあります。
そのせいで臭いが気になることもありますが、日々ガシガシ使って時々労わる、そんな使い方をしています。
目止めをしない事などを推奨しているわけではありませんが、構えず楽に使って頂ければと思います。
使っていれば多少なりとも臭いは付いてしまうし、シミなども付いてきます。
長く使っていくと買った時とは違った表情に変化していきます。
”日常で使う”ということはそういうことだと思います。
ただこれは長く付き合ったからこその美しさだと思います。
その表情を楽しみに使って頂けると幸いです。